宝石カットのはじまり
古代インドでは、紀元前からダイヤモンドが採取されており、その驚くべき硬さと輝きから神秘的なパワーを持つ宝石として位置づけられていました。そのため、古代インド人は高度な研磨技術を身に着け、さまざまなカット法に挑みます。

しかし、彼らは丸く磨いた半円形の形が特徴的な「カボションカット」を好んでいたため、ダイヤモンドの輝きが生かせるカット開発には至りませんでした。
なぜなら、このカットは角度がないため、光の反射を受けられないからです。しかし、現在では半透明や不透明の宝石にカボションカットが施されています。
ヨーロッパで輝きが注目されるダイヤモンド
14世紀に入ると、インドからヨーロッパにダイヤモンドが運ばれます。ヨーロッパではダイヤモンドの硬さだけでなく、その輝きが注目されるようになります。
そのため、ダイヤモンドの研磨職人たちには、その魅力を最大限に発揮させる輝きを求めたカット技術が求められました。15世紀になると「テーブル・カット」や「ローゼンツ・カット」、その後16世紀になると「ローズ・カット」が誕生します。
このローズ・カットは、現代でもアンティークジュエリーで多くみられ、不動の人気となっています。そして、17世紀になるとインドだけでなく、南アフリカからも輸入されるようになり、ダイヤモンドはますます注目され、多くの方の関心を高めました。
研磨職人たちが試行錯誤を重ね、「マゼラン・カット」や「オールド・マイン・カット」、「オールド・ヨーロピアン・カット」などが開発されていきます。これらのカットは今までの外形を円へと変えることで、ダイヤモンドの輝きがさらに美しく引き出せることに成功しました。
現在の宝石カット最新情報
20世紀に入ると、初期のブリリアントカットが再び開発されます。ダイヤモンドの光学的特性に基づき、今までのカットよりも適正なプロポーションでカットした技術が、58面を持つ現在のブリリアントカットになっています。
また、ブリリアントカットにはラウンド以外の形をしている「ファンシー・シェープ」「オーバル」「マーキーズ」「ペアシェープ」「ハートシェープ」なども種類があります。
さらに現在では、研磨職人の技術だけでなく、研磨機械の発達とともにさまざまなカットバリエーションが増えています。今後も研磨職人の腕はもちろん、研磨機械の技術もさらに向上していくことが予想され、さらに多くの宝石カットを楽しめることでしょう。

